香りがもたらす小さな安らぎ 在宅医療に関わる薬剤師として考えるアロマテラピーの可能性

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くるみ薬局の藤井寺本店では特に在宅医療に力を入れています。


在宅で療養されている方の中には、


「痛みや不安で眠れない…」「気持ちが落ち着かない・落ち込む…」


そんな場面が少なくありません。


特にがん患者さんなどが抱える心と身体のつらさに寄り添う「緩和ケア」は、在宅医療においても大切な役割を担っています。


こうしたつらさに対しては、お薬による治療だけでなく、さまざまな方法で心身の負担を和らげていくことも大切です。


その一つとして、アロマテラピーがあります。



〇アロマが緩和ケアで役立つ理由


緩和医療というと、「痛みを和らげる医療」というイメージが強いかもしれませんが、実際の現場では痛みだけでなく、不安、不眠、吐き気、気分の落ち込みなど、さまざまなつらさを抱える患者さんがいらっしゃいます。


アロマの香りは嗅覚を通じて、脳の感情や自律神経に関わる部分に直接働きかけることができるため、このような患者さんたちの“不安や緊張をやわらげる” “呼吸をゆっくり整える” “睡眠の質をサポートする”といった薬だけでは補いきれない部分をサポートできます


現に在宅医療を行う医師から「アロマテラピーで何かできないだろうか」と相談を受けることもあります。


そんな時、在宅医療や緩和ケアに関わる薬剤師として、病状や安全性を考慮した上で、それぞれの患者さんにあったアロマを提案できればと思っています。



〇在宅医療で提案するアロマ


在宅で行うアロマは、なるべく簡単に始められる方法でご提案しています。


例えば一番簡単なのはティッシュや湯を張ったマグカップなどに垂らして香りを広げる方法などがあります。


ディフューザーやアロマストーンも取り扱っているので、ご希望であればご購入いただくこともできます。


実際はなかなか難しいのですが、ご家族が最後にアロマハンドマッサージをしてあげたいというご要望があれば医師との相談の上方法をお伝えさせていただくこともご協力できるかと思います。


くるみのアロマはすべて100%天然精油を使用していますが、だから安全というわけではなく、病状や体質によっては避けることが望ましいものや注意が必要なものもあります。


そのあたりをふまえてご提案できるのが「薬剤師ならでは」なのではないでしょうか。



〇アロマをおすすめした事例


これまで、不安が強く眠れない方や、点滴やお薬のにおいで気分が悪くなってしまう方などのお悩みを持つ方にくるみのアロマをご提案したことがあります。


まずはお電話にてご本人やご家族様に、現在の体調や症状、生活の様子、香りの好みなどを伺います。


そのうえで、お薬をお届けする際にいくつかの香りのサンプルをお持ちし、実際に香りを試していただきました。


香りの感じ方はとても個人差が大きく、「これが正解」というものがありません。


また病状によって嗅覚が過敏になっている方も少なくありません。


そのため、患者さんご本人が心地よいと感じる香りを一緒に探していくことが大切だと感じています。


香りのサンプルを持っていく際には患者さんの負担を考慮し、1回に3種類程度までにしたり、精油を一滴たらしたムエットを密封袋に入れて持っていき、なるべくお部屋に香りが残らないよう配慮するようにしています。


ただ、緩和ケアの現場では、時間が限られていることも少なくありません。

香りをゆっくり選ぶ時間がないまま、お別れの時を迎えることもありました。


正直なところ、アロマテラピーが十分に役立てたと感じられるケースは、まだ多くないのが現状です。


それでも、香りを試していただく時間の中で、患者さんやご家族の本音をお話しいただけたり、「こんな取り組みをされてるんですね」と少し表情がやわらぐ瞬間に出会うことがあります。


そのひとときが、ほんのわずかでも気持ちを和らげる時間になっていればと願っています。



〇まとめ


アロマテラピーは医療の代わりになるものではありません。


しかし、薬だけでは届きにくい「心のつらさ」に寄り添う一つの方法として、緩和医療の中でまだ可能性があるのではないかと感じています。


これからも、患者さん一人ひとりの思いに寄り添いながら、医療の現場でできることを模索していきたいと思っています。